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補助金・制度公開 2026.05.13更新 2026.08.17

デジタル化・AI導入補助金2026はAI導入に使えますか? 申請枠・締切・準備の順番

使えます。ただし補助対象はITツールの導入費用に限られ、申請はIT導入支援事業者との共同作業になります。

  • 2026年度から旧IT導入補助金が名称変更。正式名称は中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金。
  • 申請枠は5つ。通常枠の補助額は導入するプロセスの数で決まり、補助率は1/2以内と2/3以内の2段階。
  • 1次締切は2026年8月25日17:00。GビズIDプライムの発行にはおおむね2週間かかる。
  • 事業計画に書くのは減らす時間とその根拠。測っていない業務は幅でしか書けない。
目次

「去年うちが使ったIT導入補助金、今年はもうないらしい」。そう報告されてAI導入の検討が一度止まる。同じ話を今年に入って何度か聞きました。

なくなってはいません。名前が変わっただけです。ただし手続きの側にも変更が入っていて、そこを知らずに動くと締切に届きません。

デジタル化・AI導入補助金2026とはどんな制度ですか?

中小企業がITツールを導入する費用の一部を国が補助する制度です。旧IT導入補助金の後継にあたります。

デジタル化・AI導入補助金2026の公式サイトによれば、正式名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」。事業概要のページは目的を「中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金」と説明しています。

名称にAIが入ったのだから、AIを使ったツールは優遇されるに違いない。そう読みたくなります。ところが事業概要のページを最後まで読んでも、AIの定義も、旧制度と比べて何が変わったのかも書かれていません。書かれているのは対象が「ソフトウェア、サービス等」であることだけです。

つまり現時点で確かなのは「AIを使ったツールが対象から外れる理由はない」という程度です。「AI枠ができた」「AIなら通りやすい」といった話を前提に計画を立てると、根拠のないところに時間を使うことになります。

申請枠と補助額はどうなっていますか?

枠は5つあり、通常枠の補助額は導入するプロセスの数で決まります。

  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型)
  • インボイス枠(電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数者連携デジタル化・AI導入枠

金額は通常枠のページに出ています。1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下、補助率は1/2以内と2/3以内。2/3以内が適用される条件も書かれています。令和6年10月から令和7年9月までの間で3か月以上、最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である場合です。

同じページには補助対象経費も挙がっています。必須のソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)、オプションの機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ、そして役務にあたる導入コンサルティングと活用コンサルティング、導入設定・マニュアル設定・導入研修、保守サポートです。

このうち一行だけ、読み飛ばすと損をするところがあります。クラウド利用料が最大2年分まで対象に含まれる点です。買い切りのソフトを想定した制度だと思い込んでいると、月額型のサービスを検討する選択肢そのものが視界から消えます。

締切までに何を済ませておく必要がありますか?

GビズIDプライムとSECURITY ACTIONの2つです。どちらも申請の前提です。手元に揃うまで日数がかかります。

申請前の準備のページによれば、交付申請の要件はGビズIDプライム。発行までおおむね2週間かかると書かれています。SECURITY ACTIONは情報処理推進機構(IPA)が用意している制度です。要件は「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言。宣言済アカウントIDの発行はおおむね2〜3日です。

日程のほうも見ておきます。事業スケジュールによれば、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠および複数者連携枠の1次締切は2026年8月25日(火)17:00、交付決定日は2026年10月7日(水)の予定、事業実施期間は交付決定から2027年3月31日(水)17:00までの予定です。締切時刻について「いかなる理由であっても受付対応は一切いたしかねます」と明記されています。公表されるのは確定した募集回だけです。以降の回は随時更新されます。

そしてもう一つ。申請は自社だけでは完結しません。申請の流れを見ると、交付申請はIT導入支援事業者と共同で作成する手順です。支援事業者から申請マイページへ招待を受け、自社が申請者情報と必要書類を入れ、支援事業者がツールの詳細と事業計画値を入力する。相手の手が空いていなければ、こちらがどれだけ急いでも進みません。同じページには交付決定前の発注・契約・支払いの取り扱いについて、公募要領を確認するよう案内があります。急いでいるときほど先に発注したくなる場面なので、着手前に必ず読んでおきます。

逆算すると、2週間かかる手続きが最初に挟まる以上、締切の1か月前に動き出してようやく普通の速度になります。

事業計画には何を書くことになりますか?

減らす時間と、その根拠です。ツールの機能ではありません。

ここが最初に詰まる場所でした。「シフト作成を効率化する」とだけ書いた計画は読む側から見ると何も言っていないのと同じです。何人がどの作業に1日何時間使っているのか。その数字がないと、削減後の数字も出せません。

当社が手がけた年商300億円規模の小売企業向けのシフト作成システムでも、着手して最初にやったのは作成時間の中身の分解でした。3店舗のどの作業に時間が溶けているのか。ここを先に押さえたから、削減後の姿まで事業計画に書けました。測っていなければ、この案件でも「大幅に効率化」としか書けません。

Case年商300億円規模の小売企業向けシフト作成システムを開発店舗ごとの人員、勤務時間、休憩、レジ配置が互いに絡み合い、1か所を直すと別の場所に矛盾が出る。この調整の連鎖をシステム側へ移した開発事例です。

対照的なのが社内問い合わせ対応やスタッフへの連絡業務です。誰がどれだけ時間を使っているかを測っている会社はほとんどありません。当社が想定例として置いている数字も、問い合わせ対応で月40〜80時間、作業依頼と確認連絡で月30〜60時間という幅のままです。幅のまま申請すれば、交付決定後の実績報告で自分の書いた数字と向き合うことになります。

だから順番はこうなります。1週間だけ、対象にしたい業務の作業時間を記録する。それから申請の準備に入る。この1週間を惜しむと、あとの半年で返済することになります。

補助金を軸にツールを選んでよいですか?

やめたほうが安全です。対象ツールの一覧から選び始めると、判断の基準が「補助が出るかどうか」に置き換わります。

自社の業務に合っていないツールを費用が半分になるという理由で入れる。導入後に使われなければ、残るのは補助されなかった半分の支出と、運用の手間です。制度の側は何も間違えていません。順序が入れ替わっただけでこうなります。

当社がAI経営OSの導入で最初に置いているのは現在地診断、つまり業務の棚卸しとAI活用レベルの確認です。次が組織・権限設計。AIに任せる範囲と人が決める範囲の線を引きます。この2つを終えると「どの業務のどの時間をどの仕組みで減らすか」が文章になっている。補助金の事業計画に書く内容とほとんど同じです。

要件が先にあれば、補助金は費用を下げる手段として機能します。要件がなければ、補助金は選定を歪める力にしかなりません。

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冒頭の会議に戻ります。あの場で確認すべきだったのは制度が残っているかどうかではありませんでした。自社のどの業務のどの時間を減らしたいのか。そこが決まっている会社は制度の名前が変わっても手が止まりません。

※本記事の制度に関する記載は2026年8月15日時点で公式サイトに公開されている内容に基づいています。上限額・補助率・スケジュール・要件は変更される場合があるため、申請にあたっては必ず公募要領と公式サイトの最新情報をご確認ください。採択・支給は保証されません。

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