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AIニュース公開 2026.07.08更新 2026.08.17

ローカルAIとは何ですか? クラウドに出せないデータの見分け方と使い分け

ローカルAIはデータを社外に送らず手元で動かすAI。法令と契約で外に出せないものだけを回す。

  • 判断の起点はデータの種類。法令・契約・保管場所の指定に当たるものだけを手元へ回す。
  • クラウド利用が個人データの第三者提供に当たるかは契約条項とアクセス制御で決まる。
  • 個人向けAIエージェントを端末側で動かす前提のハードウェアが2026年に製品化された。
  • ローカルに寄せると、更新・権限・バックアップの運用がそのまま自社の仕事になる。
目次

AI活用の話が現場で盛り上がったあと、決まって同じところで止まります。「そのデータ、外に出していいんでしたっけ」。

顧客名簿、カルテ、人事評価、まだ公表していない見積。使えたら効果が大きい情報ほど、社外のサービスに貼り付けてよいかの判断がつきません。判断がつかないので、当たり障りのない業務にだけAIを使うことになり、効果も当たり障りのない範囲にとどまります。

ローカルAIとは何ですか?

データを社外に送らず、自社の環境で計算まで行うAIです。手元にモデルそのものを置きます。

ふだん使っているチャットAIでは入力した文章がインターネット越しに事業者のサーバーへ送られ、そこで処理された結果が戻ってきます。手元にあるのは画面だけ。計算はすべて外側で起きています。ローカルAIはこの計算を社内のサーバーや手元のパソコンで行う構成です。重みが公開されているモデルが増え、数年前より現実的になりました。

長らく無理があったのは性能のほうです。実用的な大きさのモデルを動かすには相応のGPUとメモリが要り、机の上の機材では手が届かなかった。この前提がいま変わりつつあります。

クラウドに出せないデータはどう見分けますか?

データの種類で先に決めます。法令、業界規制、取引先との契約。この3つのいずれかが保管場所や外部送信を縛っているものだけを手元の処理に回します。

判断を担当者一人ひとりに委ねると、結局は「念のため使わない」に寄っていきます。基準を2問に落とすと運用が楽になります。個人が特定できる情報を含むか。契約や規制で保管場所の指定があるか。

1問目は思い込みで止めている会社が少なくありません。個人情報保護委員会のQ&A(Q7-53)によれば、クラウドサービスの利用が個人データの第三者提供や委託に当たるかどうかは「クラウドサービス提供事業者において個人データを取り扱うこととなっているのか」で判断します。たとえば契約条項でサーバに保存された個人データを取り扱わない旨が定められ、適切にアクセス制御が行われている場合などが「取り扱わないこととされている場合」に当たります。つまり、個人データを含むというだけで一律に外部利用が閉じるわけではありません。

2問目は業界によって答えが厳しく決まっています。医療分野なら厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインがあり、2026年6月に第7.0版へ改定されました。経営管理編・企画管理編・システム運用編などに分かれ、読む立場ごとに求められる事項が整理されています。この種の規制がある領域では構成そのものの選択が問われます。

外に出せるデータと出せないデータの切り分けは入力してよい情報の線引きと同じ作業です。

Column生成AIに入力してはいけない情報は何ですか? 4つの区分と判断の基準生成AIに入力してはいけない情報を、個人情報・他社の秘密情報・認証情報・未公表の経営情報の4区分で整理します。入力した内容が事業者側でどう扱われるか、迷ったときに何を基準に切り分けるかを中小企業向けに解説します。2026.06.17 AI活用

手元で動かす前提のハードウェアは実用段階になりましたか?

製品として並び始めた段階です。2026年5月31日、NVIDIAが個人向けAIエージェント用をうたうチップ「NVIDIA RTX Spark」を発表しました。

Blackwell世代のRTX GPUと20コアのGrace CPUを組み合わせ、最大128GBの統合メモリと1ペタフロップスのAI性能を備えるとされています。搭載機は2026年秋に、ASUS、Dell、HP、Lenovo、Microsoft Surface、MSIといったメーカーから登場する見込みです(NVIDIAの発表)。

注目したいのは性能値そのものより、想定されている用途です。発表で示されたのはアプリケーションを操作し、コンテンツを生成し、複数の手順にまたがる作業を進めるエージェントを端末上で動かす姿でした。クラウドへ問い合わせるたびにデータを送る前提ではない設計です。

とはいえ、机の上に置ける機材が出たことと、自社で運用が回ることの間にはまだ距離があります。

クラウドとローカルはどう使い分けますか?

業務ごとに分けます。片方に寄せる判断はたいてい高くつきます。

クラウドAIが向くのは次のような場合です。

  • 最高水準のモデルの性能をそのまま使いたい
  • 導入を急ぎたい、初期の設備投資を抑えたい
  • 利用量が読めない、あるいは季節で大きく変動する
  • 扱うのが公開情報や、社外に出しても支障のないデータ

ローカルAIが向くのはこの裏返しです。

  • 顧客の個人情報や医療情報、人事情報など外部送信そのものに制約がある
  • 業界の規制や取引先との契約でデータの保管場所が指定されている
  • 利用量が多く安定していて、従量課金より自前の設備のほうが読みやすい
  • ネットワークが不安定な現場でも止まらずに動かしたい

実務でよく落ち着く形はこうです。社外に出せないデータの処理を手元で行い、一般的な調べもの、文章の推敲、資料の下書きはクラウドの高性能なモデルに任せる。業務ごとに線を引いておけば、現場は毎回悩まずに済みます。

OnFieldが提供しているAI経営OSも、会社の情報とルールと記録を1か所のフォルダにまとめる仕組みですが、そのフォルダの置き場所は顧客のパソコンの中です。顧客が契約したAI環境で動かし、AIに任せる範囲の線引きを導入のいちばん最初に設計します。データを預かる構成にしないほうが社内の合意が早いという事情もあります。

ローカルにすれば安全になりますか?

なりません。クラウド事業者が担っていた運用がそのまま自社の仕事に移るだけです。

社内に置いた環境は自社で守ることになります。モデルとソフトウェアの更新、アクセス権限の管理、バックアップ、持ち出し端末の扱い。担当者と手順を決めずに機材だけ入れると、数か月後には誰も更新していない箱になります。物理的に手元にあることと、管理されていることは別です。

順序として先に確かめたいのは使おうとしているクラウドサービスの契約条件です。法人向けのプランなら、入力したデータをモデルの学習に使わない、一定期間で削除する、保存先のリージョンを選べる、といった条件が明示されている場合があります。社内規程に照らして問題がないなら、ローカル構成を組む必要はありません。

そして、どちらの構成でも変わらない線が1本あります。承認の境界です。OnFieldでAIがやるのは下書きの作成、集計と仕分け、気づきの通知まで。対外への送信、支払いと契約、最終の確定は人だけがやる。計算する場所を手元に移しても、この線は動きません。事故の被害が閉じるかどうかを決めているのは計算の場所ではなく、承認なしに何が外へ出るかだからです。

どの業務から見直せばよいですか?

「そのデータ、外に出していいんでしたっけ」で止めた業務からです。書き出してみると、思ったより多いはずです。

書き出したあと、それぞれに2問を当てます。個人が特定できる情報を含むか。契約や規制で保管場所の指定があるか。どちらも「いいえ」なら、止めていた理由は制度ではなく判断の不在でした。「はい」があるものだけが手元で動かす構成を検討する対象になります。この仕分けを先にやらないと、機材の話が制度の話を追い越します。

線引きを社内ルールとして文書に落とす手順はこちらにまとめています。

Column生成AIの社内ルールはどう作って運用すればよいですか? A4一枚から始める6項目生成AIの社内ルールの作り方と運用の続け方を、A4一枚の最小構成6項目、許可の側から決める3段階の線引き、部門ごとの上乗せ、3か月ごとの改定という順で解説します。公的ガイドラインとひな形の入手先もあわせて紹介します。2026.05.08 AI活用

業務に合わせた構成の設計や、手元で動かす前提のシステム開発も承っています。

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